老いたる象徴と風の分岐

2017/08/20 - かんそうぶん
封神演義 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
集英社 (2013-12-20)
売り上げランキング: 5,182

封神演義が再アニメ化すると聞いて、原作を、ひっさしぶりに再読しました。
アニメ化自体は正直、まったく喜べないのですが(さすがに今さら…)
原作については世代なので、ちょっと人格に影響与えすぎな勢いで大好きなのです。久しぶりに読みたくなってしまって、つい熟読しました。
いつまでも色褪せないおもしろさ…。

以下、とくに作品の紹介とかではなく、なんの説明もなしに細かすぎるツボを語る謎の記事。
※自分で読み返したら見るに堪えなかったので、再アニメ化に関する所感は消しました

物語がおもしろいのとか、キャラが素敵なのとか、終盤の絵が好きすぎるのとか、そんなことは知ってたんですよ。
でも、ここまで読み尽くした話でも、細かーいところに新しく発見したツボがいっぱいあった。すげえ。
今回の再読では、「太公望と邑姜が血縁」+「姫発と邑姜の子が周の王になる」という設定というか枠組みというか、そういうのになにか見出して「やべえ…」「やべえ…」てずっと言ってました。
完結から十七年経って、脳内補完スキルがすっかり悪化しておった…。

え、だって周の王族に太公望と同じ血が入るってことでしょ…。
伏義じゃなくて呂望としての太公望の、魂魄じゃない肉体としての情報が、みずからが主導して興した王国の、王族の血に混ざってるってことでしょ…。
しかも太公望のはじまりっていうのは羌族の無念でしょ…。
なんかこう、この事実のすべてに泣くんですけど。

この物語が、あらゆる伏線を回収して行き着く先はSFです。「最初のヒト」としての運命が絡んだ、世界の成り立ちに関わる壮大な話なわけです。
主人公は宿命のライバルと合体し、物語は新しいステージに格上げされ、魂魄VS魂魄になるわけです。
それがまた、ものすごい展開で大好きなんですけど。
そんな中でも、理想を実現すべくひたすら一途に邁進した「太公望」という半身が、地球の大地で生まれて生きて成し遂げたことがきちんとあるというのが。象徴みたいに、同じ遺伝という形で周の王朝に織り混ざってる。そこんとこロマンを感じずにはいられないというか。
わしとてわしなりにわしとしてやってきたのだ。やってきてた。うおー。
望ちゃん良かったね…て言ってあげたくなった。うう。

牧野の戦いに邑姜が助っ人に来る展開と、「わたしはあなたをとても誇りに思う」でも、なんか、こう、泣きそうになりました…。
昔読んだ時はこのへん、天化がたいへんすぎてそれどころじゃなかったから、あまり噛み締められなかったな…。
血縁設定が弱点なのが、当時より深刻に悪化していることを実感しました…(笑)
邑姜は息子に「ひいおばあちゃんの兄」の話をたくさんしてあげながら育てるといい。姫発もちょっとでも長く生きてグータラ軍師の話をしていればいい…。

フジリュー作品はあまり叙情的な演出をやらない印象があるのでサラッと読みがちなんですけど、俯瞰で見るとおそろしくロマンを感じる構図がいろいろ見えてうひょーってなります。原作があるというのも大きいのでしょうが。
奇抜なデザインとか細かい描き込みとかが目を引く作家さんですが、わたしはなによりお話の構成力みたいなのが好きかもしれない。今回の再読でも、細かい細かいつながりとか対比とかに、いちいちときめいて大変おもしろかったです。封神は特に伏線三昧だったのがヒューてなりました。1話あたりの情報量がとても気持ちよい…。
緻密な作品は、読み返せば読み返すほど楽しいです。
どんな展開も、見事にすべて妲己ちゃんの手のひらの上なの綺麗すぎこわい…。
comment (0) edit
すぎさりし | 心のむくみに効くノンフィクション(とか)

comment

コメントを送る。

URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する